【第2話】日本のものづくりを土台から支える“元気な100年企業” への挑戦。
2017-02-24
1月に執り行われた地鎮祭を皮切りに、新工場プロジェクトもいよいよ具体的に動き出した。
新工場が建設される土地は、建屋の位置出しが行われ、電柱が建ち電気工事も完了。また、仮囲いや現場事務所が完成したことで、少し前までは更地だった土地が、いよいよ建設現場らしくなってきた。
3月からは基礎工事が本格的にスタートする予定となっており、現在、株式会社イヅミ建築設計事務所(設計)、施工担当の谷津建設株式会社(施工)、株式会社ミズキの3社で、毎週定例会を持ち、設計の最終段階に入っている。
図面の数は膨大で、それらを積み重ねると分厚い電話帳ほどの高さになる。多品種少量生産に対応するための機械の配置、効率のよい動線、安全性の確保などを慎重に検討しながら、株式会社ミズキのコンセプト“日本発、世界に通用する部品メーカー”としてのあるべき姿を追求している。具体的には、20年後も世界の先端ニーズに応え続ける工場を実現することだ。そのために、今、弊社代表の水木は専門家のパートナーたちと、一枚一枚の図面を綿密に確認する日々を過ごしている。
「デザイン」の力で、MIZUKIの魅力を再認識できる空間を創出
建屋の構造・空間設計と同時進行しているのが、新工場のサイン計画である。今回はそのサイン計画打合せに同行した様子をレポートしていこうと思う。
そもそもサイン計画とは何を意味し、なぜ我々の新工場に必要なのだろうか。佐野彰彦氏(株式会社それからデザイン代表/ブランドデザイナー)にその目的を伺ってみた。
「サインとは、標識や目印のことで、人が行動するために必要な情報を伝えるものです。例えば駅構内のどこにトイレがあるのかを示す表示や、出口までを示す表示がそれにあたります。公共施設や、大型商業施設、総合病院などで、看板や目印を頼りに目的の場所を探すことは誰でも経験があると思います。サインには、「分かりやすい、分かりにくい」という機能性だけでなく、その場の印象や雰囲気に作用する情緒性もあります。そのため、現在はオフィスや工場などにも、綿密なサイン計画を導入する企業が増えています。
今回、水木社長から、『会社の理念やコンセプトを体現するような内装空間にしたい』というオファーをいただきました。私は、ブランドデザイナーとして、主にこのサイン計画やディスプレイ等のご提案をさせていただく予定です。
新工場を単に「作業効率の良い生産環境」としてだけでなく、そこで働く社員、仕事を共有する協力会社様、商談で訪問されるお客様が、MIZUKIの想いや目指すことを共通理解して感じ取ることができる空間にしたいと考えています」(佐野氏)
現在はまだ構想段階であるそうだが、今後は建屋の設計事務所の方々との打ち合わせを重ね、これまで佐野氏に作成いただいた弊社のロゴマークやタイポグラフィーを生かしたサイン計画を立てていくそうである。
この日の打合せは、新工場の図面を見ながら、お客様がどのような気持ちで玄関に立たれるのか、その後どういうサインがあればストレスなく目的地へ誘導できるか、従業員はどういう導線を辿り食堂へ行くかなど、その人の目線まで落とし込んで導線確認を一つ一つ丁寧に行っていた。中でも印象的だったのが、来社いただいたお客様にMIZUKIのものづくりへの想いや姿勢といった世界観をいかに伝えられるかを相談している点だ。このことは、水木が社で繰り返し話をしている「ありがとうと言ってもらえるような仕事をしていこう」という考え方にマッチしているように感じた。今後、デザインの力がどう現場を色づけ、我々の想いをカタチにしていくのか、興味深く見ていこうと思う。
地域、そして日本に強い根を張るMIZUKIへ。
現在、国内の製造業は、海外に生産工場を建設することが主流だ。地代や人件費も含めたコストは、製造部門をオフショア化することで削減できることは言うまでもない。実際、「この時代、日本国内に投資するのは非効率ではないか、経営戦略として正しいことなのか?」と問われることもあるという。では、なぜ私たちMIZUKIは国内に新拠点を設けるのか。その点について、弊社代表の水木は次のように従業員に話している。
「私たちの会社は5年後、10年後に景気が良ければそれでいいのではない。目指すのは“元気な100年企業”だ。自分たちの子どもや孫が働く時代でも、世界中から求められる価値のある仕事をすること、そして地域、ひいては日本のものづくりを土台から支えられる企業であり続けることだ。だからこそ、“日本発、世界に通用する部品メーカー”として、自国でいかに強く、そしてしなやかな根を張れるかにチャレンジすべき時なのである」
企業の存在意義とは何か─。ある企業は「利潤の追求」と答えるかもしれない。しかし、そこで働くのはいつの時代も「人」だ。100年先のことは、誰にも分からない。しかし、弊社代表の力強いメッセージから、私たち株式会社ミズキの社員一人ひとりに、子ども、そして孫たちの活躍できる元気な会社をプレゼントする使命があるのだと感じた。