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STORY#02 世界最高レベルの価格競争力の秘密とは

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世界最高レベルの価格競争力の秘密は

リーマンショック以降、低価格化に対する要求はますます高まり、高コストな日本の中小製造業には暗雲が立ちこめている。ミズキもつい数年前までは「いいものだけど高くて使えない」と言われ、希望が持てない状況だった。しかし、ここ数年は地道なコストダウンの取り組みが功を奏し、世界の顧客ニーズに低価格で対応できるようになったという。海外にも通用する価格競争力の秘密はどこにあるのか。製造技術部 第二グループ グループリーダー 瀬川信彦に聞いた。

製造機械の固定費を下げる

日本企業の高コスト体質。その最も大きな要因は人件費だと言われる。

物価が高く人件費を抑えるのが難しい日本はコスト競争では不利だというのが一般論だ。しかし、ミズキを見るとコスト削減の余地は人件費以外にもありそうだ。その1つが設備固定費である。

「高価な新品の機械を購入して生産するだけではコスト競争力は得られないため、当社では数十年前の機械を自分たちでメンテナンスしています。時には大幅な改造を施し、非常に安い価格で新品と同等以上の性能を発揮できるよう工夫しています」

と瀬川は話す。
現にミズキでは、既存の機械を改修して、新品で購入すると1000万円近くする最新の機械と同等の性能を実現。大幅に設備費を圧縮した実績をもつ。自分たちで機械を改修するエンジニアの存在。ミズキの価格競争力の秘密はここにあるようだ。

オリジナルの転造機を開発

「メンテナンスや改良だけでなく、自社で転造機を造ったこともあります」

数年前ミズキにはマイクロサイズ用の転造機が15台しかなく、月産5000万本をこなすのがやっとだった。さらにM0.6〜0.8という超マイクロサイズのネジの需要が大幅に増えていたが、同社が大量生産できるのはM1.2程度が限界だった。

「超マイクロサイズのネジを、効率良く生産できる転造機は市販されておらず、自分たちで作るしかないと考えました」

瀬川は早速、技術スタッフを集めて自分たちで転造機の図面をひいた。価格を抑えるため、筐体は板金を溶接してつくり、摩耗が激しいスライド部には交換可能な市販の金属部品を応用。作り手の視点で、使い勝手の良いつくり、メンテナンスのし易さなど、随所に工夫をちりばめた。特に苦労したのは、ネジを一点一点流すパーツフィーダー。微細な部品のため、いかに効率よく流すかが決め手だった。

「自分たちで最もネジが流れやすい形状を研究し、最終的には自ら削り出して作りました」

半年かけて組み立てを終えたが、その性能は1日あたり10万本以上の生産能力を誇るという。その後、さらに改良を加えた転造機を4台、M1.6〜2の汎用品にも応用できるような転造機を3台製造し、コスト削減に大きく貢献した。

製造効率と精度の向上が人件費を吸収する

人件費の差を吸収する要因は設備固定費だけではない。もう1つの大きな要因は製造効率の大幅な向上だ。

「転造機の開発で追求したのは無人でも動くように、またできるだけスピードをあげられるように、スムーズに製品を流す技術です」

製品が途中で止まることなく流れることで昼夜を問わず無人でも工場が稼働する。さらに製品が流れるスピードも上がるため、製品1個あたりの人件費はぐっと下がる。 また、メンテナンスの繰り返しは製造機の精度を向上させる。ミズキのエンジニアはネジ山をつくる際に出る金属の粉や音でその機械の状態がわかるという。少しでもおかしいなと思うところがあるとメンテナンスする。そうして手をかけた転造機は不良品の発生率が下がる。

「社員一人一人、いいものづくりをしようという意識が高いです。不良品を出さないので結果としてコストも削減できています。」

一見遠回りに見える不断の努力が価格競争力を培っているのだ。

エンジニアの誇り

「転造機までつくってしまうネジ工場はそうそうないと思います。最初に転造機をつくろうと提案した時はどうなるかと思ったのですが、自分たちでやらせてもらえるなら楽しんでやろうと思い全力で取り組みました。転造機の開発は大変でしたが、自分たちもやればできるんだという自信に繋がり、夢がありました」

いいものを工夫してつくる。ものづくりに携わる者の腕の見せどころだ。今、ネジは小型化の波が落ち着き、より硬い材料の加工が課題になりつつある。ニーズは常に変化し、そしてまた新しい製造機械が必要になってくるだろう。 新しい製造機械が必要になったらまた開発するか、という問いに、瀬川は「もちろん。チャンスがあればやりたいと思っていますよ」と答えた。

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